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平屋は暑い、と言われる理由|遮熱と断熱の違い|松山市の工務店が解説

執筆者の写真: cozybase
cozybase
13 時間前
読了時間: 12分

平屋は暑い、と言われる理由


家づくりの基礎知識



「平屋は暑い」

家づくりを調べていると、必ず出てくる言葉です。


先に申し上げます。この評判は、構造的には正しいです。

理由は2つあります。


1|屋根が広い

同じ延床面積で比べると、平屋の屋根面積は2階建てのおよそ2倍になります。 30坪の家なら、2階建ては15坪分の屋根で済むところを、平屋は30坪分。 太陽からの熱を受ける面が、そのまま倍になります。


2|すべての部屋が、屋根の真下にある

2階建てでは、2階が1階の緩衝材の役割を果たします。1階のリビングは屋根から離れているので、屋根の熱を直接は受けません。

平屋には、その緩衝がありません。 リビングも、寝室も、子ども部屋も、全部が屋根に接しています。

つまり平屋は、受ける熱が倍で、逃げ場がない。 「平屋は暑い」と言われるのは、気のせいでも思い込みでもありません。


では、どうするか

一般的な答えは、こうです。

天井をつくり、その上に断熱材を敷いて、熱を止める。

真夏の晴れた日、屋根の表面温度は 70℃を超えます。

これは一般論ではありません。当社が松山市内で実際に計測した値です。

この70℃の熱を、断熱材で食い止めようとする。それが世の中の標準的な考え方です。

私たちの答えは違います。

熱は、まず跳ね返す。跳ね返しきれない分は、溜めずに逃がす。それでも残った分だけを、断熱材で止める。

なぜこう考えるのか。断熱材だけでは、平屋の夏は乗り切れないからです。

その理由を、熱の物理から説明します。少し専門的な話になりますが、他社の見学に行かれたときにも使える知識になるはずです。出典は末尾に明記しました。


まず、熱の伝わり方は3種類あります

ここを押さえておくと、あとの話がすべて見通せます。



1|伝導(でんどう) 物質の中を、熱が直接伝わっていく。金属のスプーンを熱いスープに入れると、持ち手まで熱くなる。あれです。


2|対流(たいりゅう) 空気や水が動いて、熱を運ぶ。暖房をつけると暖かい空気が上に行く。あれです。


3|放射(ほうしゃ/輻射) 物質を介さず、電磁波として熱が飛ぶ。 焚き火に手をかざすと、空気は冷たいのに手のひらだけ熱い。あれです。放射熱は、温度の異なる面のあいだを直進します。そして最初にぶつかった物体に吸収されるか、反射されます。暗く粗い面は吸収して熱くなり、滑らかで光沢のある面は反射する。太陽の熱が地球に届いているのも、この放射です。

出典:Virginia Cooperative Extension, Virginia Tech. ENERGY SERIES: What about Radiant Barriers? https://www.pubs.ext.vt.edu/2908/2908-9021.html

夏の屋根から来る熱は、「放射熱」になります

70℃になった屋根の下面は、真下に向かって放射熱を放ち続けます。これが天井裏を通り、天井を温め、室内に降りてくる。 夜になっても屋根と屋根裏に蓄えられた熱は抜けず、放射は続きます。

ここが重要な点です。

一般的な断熱材——グラスウールでも発泡系でも——は、伝導と対流の熱に対応するものです。 放射熱に対しては、あまり効きません。

エアコンの室外機の上に断熱材を置いても効果が期待できないのと同じです。

一般的な断熱材の多くは伝導と対流による熱流に対応するもので、放射による熱流には対応していない。(米国特許 12448775 明細書における従来技術の説明)

つまり、主役が放射なのに、断熱材という「熱伝導する道具」を備えている。 これが、多くの家が夏に暑くなる根本的な理由です。

断熱材を厚くすれば、たしかに熱の到達は遅くなります。ただそれは「止めている」のではなく「遅らせている」だけです。夜まで待てば、熱は届きます。


だから、まず熱を「跳ね返す」

放射熱に効くのは、断熱ではなく反射です。

物体がどれだけ熱を放射しやすいかを示す数値を「放射率(emissivity)」といいます。 一般的な建材の放射率は0.9前後。ほとんどの熱を放ちます。

それに比べて、アルミの放射率は、通常0.05以下です。

つまりアルミは、受けた放射熱をほとんど吸収せず、そのまま跳ね返します。エアコンの室外機の上や車のフロントガラスにアルミ素材を置いて効果があることは多くの方がご存じの通ります。


私たちが家全体をアルミで包んでいるのは、まず熱を跳ね返すためです。 屋根が70℃になっても、その放射熱の大半は室内に入る前に跳ね返されます。


コージーベース一級建築士事務所「アルミ遮熱通気構造の仕組み概要」
コージーベース一級建築士事務所「アルミ遮熱通気構造の仕組み概要」


アルミには、絶対に外せない条件があります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

アルミの遮熱は、空気層がなければ機能しません。

理由は単純です。放射熱の移動が起きるには、温度の異なる二つの物体のあいだにすきま(空気層)が必要だからです。

もしアルミが他の材料にぴったり密着していたら、どうなるか。 そこには放射熱ではなく、伝導で熱が伝わります。アルミは金属ですから、伝導では熱をよく通します。

密着させた瞬間、遮熱材は熱を通す材料に変わってしまう。

米国の公的機関の資料でも、反射系の断熱は下向きの熱流を減らすのに最も効果的である一方、反射面のとなりに空気層を確保することが条件だと明記されています。空気層を設けなければ、期待した効果は得られません。


見学時に使える質問

もし他社で「断熱等級」という説明を受けたら、こう聞いてみてください。


「実際に真夏にエアコンなし!で何℃ですか?」

エアコンなし!の実測値が家の性能です。

きちんと答えられる会社は少ないのではないでしょうか?


断熱等級の上を狙うには遮熱材の厚みを増せばよいだけなのです。

ここがポイントです。断熱材の構造は外に熱を逃がさない仕組みなので冬に温かい家は家言えます。しかし、夏は外からの熱がどこへ逃げていくのかが重要なポイントになります。


平屋暮らし、夏の盲点「断熱性能の限界」
平屋暮らし、夏の盲点「断熱性能の限界」

アルミ遮熱通気構造

アルミで熱を跳ね返す仕組みは断熱等級に反映されません。

一方でアルミ遮熱の場合は、熱を跳ね返した後に断熱等級5が備わっています。断然、性能が違います。

コージーベース一級建築士事務所「実測値」
コージーベース一級建築士事務所「実測値」

仕組みはこうです。屋根や壁から来た熱をアルミで反射させて、空気層の空間を通って屋根の頂点から排気されます。これが通気構造の層です。 壁で温まった空気が屋根の高温によって引っ張られて熱の上昇気流を起こします。屋根の傾斜に沿って空気の通り道をつくり、軒の根元にも空気取り入れ口があって先から入った空気からもが棟から抜けていく。上昇気流が、熱を持った空気を屋外へ運び出します。

これが「空冷」と呼んでいる仕組みです。

熱を止めようとするのではなく、熱を反射させて空気の対流を起こして空冷として利用して家を全体を冷やす。 断熱材とは考え方がまったく違います。


そしてこれは、天井大空間を実現するための開放感のためだけの仕組みではありません。 建材から出る化学物質の放出量は、温度が上がると増えます。 熱が蓄えられたままの家では、日が落ちても放出が続く。空冷は、空気質のための仕組みでもあります。


子供の不調と住宅化学物質
子供の不調と住宅化学物質



動かない空気は、優秀な断熱材です

通気層のほかに、静止空気層があります。

紛らわしいので整理します。

  • 通気層:空気を動かして、熱を運び出す

  • 静止空気層:空気を動かさず、断熱材として使う

空気は、実はとても優れた断熱材です。熱を伝えにくい。 グラスウールも発泡ウレタンも、原理は同じで、繊維や気泡の中に空気を閉じ込めて動かなくしているから断熱材として働きます。

ただし空気は、動いた瞬間に対流で熱を運んでしまいます。 だから「静止」させることが条件になります。

私たちは、この動く空気の層と動かない空気の層を、屋根の中で使い分けています。


防水は、屋根の下に3重

天井をなくすと、天井裏という「隠れた緩衝地帯の空間」がなくなります。

一般的な家では、万一雨水が入っても、天井裏でしばらく気づかずに済むことがあります。 天井のない家では、そうはいきません。

だから、屋根の下に3重の防水層を設けています。 屋根の表面材そのものを1層目と数えれば、雨水を止める層は4つ重なっていることになります。天井をなくすという判断は、防水の設計にも責任を課しています。


断熱層と、調湿層

断熱層は、ここまでを通り抜けてきたわずかな熱を、最後に止める層です。 一般的な家では最初の砦ですが、私たちの構造では最後の砦になります。

遮熱と空冷で熱の大半を処理しているので、断熱層にかかる負担がそもそも小さい。 これが、屋根面積が2倍ある平屋でも、天井板を張らずに室内の温度が保てる理由のひとつです。

調湿層は、温度ではなく湿度のための層です。

夏の不快さは、温度だけで決まりません。同じ30℃でも、湿度が違えば体感はまったく別物です。 また、湿気の管理を誤ると、屋根の中で結露が起きます。私たちの家では、この調湿を担っているのが一般の天井板の3倍ほどある厚さ38mmの音響熟成®木材です。


一般的な住宅の内装材が12mm前後であることを考えると、かなりの厚みです。しかもこれを、天井面(屋根の内側)と床の両方に使い、住空間を上下から木で挟み込んでいます。

木は、空気が乾けば水分を放ち、湿れば吸います。厚みがあるほど、その容量は大きくなります。 機械ではなく、材料そのものに湿度を調整させるという考え方です。

私たちが空気の質を温度・湿度・化学物質の3つで考えているのは、このためです。


9層構造の一覧

すべては公開していませんが、主な層は次のとおりです。

対応する熱の種類

役割

アルミ遮熱層

放射

屋根からの放射熱を反射して跳ね返す

通気層

対流

跳ね返した熱を上昇気流で屋外へ排出する

静止空気層

伝導・対流

動かない空気そのものを断熱材として使う

防水層(3重)

屋根の下で、雨水を三段構えで止める

断熱層

伝導

通り抜けてきたわずかな熱を、最後に止める

調湿層

室内側の湿度を吸放湿で調整する

真ん中の列を見ていただくと、熱の3つの伝わり方それぞれに、別の層が対応していることがわかると思います。断熱材ひとつで3種類すべてに対応しようとするのは、本来無理があるのです。




正直に書きます|この工法の弱点

良いことばかり書いても信用されないので、限界も書きます。


1|遮熱そのものは、冬より夏に効きます

遮熱の効果が最も出るのは、冷房負荷を減らす場面です。 冬については、室内の熱を逃がしにくくする方向にも働きますが、同時に屋根から得られるはずだった日射熱も遮ってしまいます。

では冬はどう設計しているのか。私たちは温度ではなく、湿度で考えています。

同じ室温でも、空気が乾いていると寒く感じます。逆に湿度があれば、室温が低めでも暖かく感じられます。人が感じる寒さは、温度計の数字だけでは決まりません。

上に書いた38mmの音響熟成®木材が、天井面と床の両方から住空間を挟んでいる構造が、ここで効いてきます。木が蓄えた水分が空気に戻るため、エアコンの暖房を入れていても、加湿器なしで室内の湿度が30%前後に保たれます。

この数字の意味を、比較で書きます。

一般的な住宅の冬は、市販のデジタル湿度計が「LOW」と表示して、測定そのものができなくなることがあります。 多くの家庭用湿度計は下限が20%です。つまり、それを下回っているということです。エアコンの暖房は、空気を暖めるだけで湿度を足しません。だから運転するほど乾いていく。加湿器が手放せなくなるのは、このためです。

同じ室温でも、乾いた空気の中では寒く感じます。逆に乾ききっていなければ、室温が低めでも寒さを感じにくくなります。

暖房の設定温度を上げて解決するのではなく、空気を乾かしきらないことで、低めの室温でも快適にする。 これが私たちの冬の考え方です。

正直に付け加えます。 30%という数字は感染症予防に最適な湿度として推奨される40〜60%を下回っています。「理想的な湿度」までには至っていません。私たちが言えるのは、冬に暖房を使いながら、加湿器なしでこの水準を保てるという点であって、それ以上ではありません。この湿度でありながら、ビニールクロスのように壁に結露が発生しない本漆喰の壁だということにあります。アレルギー体質を考慮した方にとっては重要なことです。


2|洗濯物は、乾きにくくなります

上の裏返しです。室内の湿度が保たれるということは、部屋干しの洗濯物が乾きにくいということでもあります。

測定不能なほど乾いた部屋であれば、洗濯物は驚くほど早く乾きます。私たちの家では、それより時間がかかります。

部屋干しを前提にされているご家庭では、この点は事前に知っておいていただく必要があります。 浴室乾燥や、サンルームなど乾かす場所を別に設ける設計をおすすめしています。


3|アルミは、汚れると効果が落ちます

アルミそのもが露出すると経年で酸化・変色し、放射率が上がります。放射率が上がるということは、遮熱材としての性能が落ちるということです。ほこりが積もることでも同じことが起きます。だから、アルミ遮熱材の表面被膜のことや遮熱面をどこに配置し、どう保護するかが設計の要になります。


4|施工を間違えると、まったく効きません

上に書いたとおり、空気層がなければ遮熱は機能しません。 通気層も、入口と出口が正しく確保されていなければ空気は流れません。

この工法は、材料を使えばよいというものではなく、納まりの精度で決まります。 経験のない会社が図面だけ真似ても、性能は出ません。


5|コストが上がります

層が増えるということは、材料も手間も増えます。その分、生涯に渡って毎日が快適に暮らすことを考えると費用対効果は十分にあると思っています。




住宅検討者が確かめる方法

夏の暑さの説明は、どの会社も上手です。 エアコン1台で!という言葉が多用されています。エアコンは昭和55年基準の家を基準で畳数表示していますから、あまり凄いことでは有りません。実際に電気代がどうだったのか?、エアコンを動かしている頻度が重要です。


参考文献

  1. Virginia Cooperative Extension, Virginia Tech. ENERGY SERIES: What about Radiant Barriers? https://www.pubs.ext.vt.edu/2908/2908-9021.html

  2. 米国特許 US12448775 明細書「Insulating radiant barrier factory bonded to cellulosic substrate」における従来技術の説明(一般的な断熱材と放射熱の関係、アルミの放射率、経年による性能低下について)


コージーベースは、松山市で自然素材の家をつくっている工務店です。屋根の構造について詳しく聞きたいことがあれば、お気軽にお尋ねください。他社で検討中の方でも構いません。

家づくり勉強会(体感プログラム):https://www.cozybase.jp/taikan-program



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  • 「天井のない家に住むということ」(相互リンク推奨)

  • 「子どもの不調と、住宅の化学物質 ― 9月問題」

  • 「松山市で自然素材の注文住宅を建てると、総額でいくらかかるのか」


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