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建築費が上がっている今、狭くなった間取りを25%広くする方法

執筆者の写真: cozybase
cozybase
6 時間前
読了時間: 9分


カテゴリー:家づくりの基礎知識


建築費が上がっている今、狭くなった間取りを25%広くする方法


家づくりの打ち合わせで、こんな経験はないでしょうか。

最初は35坪で考えていた。見積もりが出た。予算に合わない。 仕方なく32坪に減らす。それでも合わない。30坪にする。

そうやって削っていくうちに、最初に描いていた家から遠ざかっていく。

いま、多くの方がこの流れの中にいます。

ただ、面積を削ること以外にも、方法はあります。

この記事では、建築面積を増やさずに、住空間を約25%広げる考え方をお伝えします。特別な工法の宣伝ではなく、まず「なぜそれが可能なのか」という理屈の話です。



建築費が実際どれだけ上がったか

感覚ではなく、公的な数字で確認します。

建設物価調査会が公表している「建設物価 建築費指数」(東京・2015年平均=100)によれば、2026年8月時点で木造住宅の工事原価は+152.7%。前年同月比では前年同月比+6.6%の上昇です。

つまり、2015年に建てた家と同じものを、いま建てると約1.5倍かかるということです。

出典元:建設物価調査会 総合研究所 (2026 年 9 ⽉ 10 ⽇)
出典元:建設物価調査会 総合研究所 (2026 年 9 ⽉ 10 ⽇)

上昇は今も続いています。国土交通省の公共工事設計労務単価は2025年度で13年連続の上昇となっており、職人不足が解消されない限り人件費は上がり続けると見られています。

「もう少し待てば下がる」という状況ではありません。

だからこそ、限られた予算の中で「どう広さを確保するか」が、これまで以上に重要になっています。



30坪の家で、計算してみます

ここからが本題です。

30坪(約99.2㎡)の平屋で、天井の高さだけを変えて比較します。

天井高

空間の体積

2.4m(一般的な住宅)

238㎥

3.0m

298㎥

差は60㎥。約25%広い。

床面積はまったく同じです。増えているのは、床から天井までの高さだけ。

これを面積に換算すると

天井2.4mの家で298㎥の空間をつくろうとすると、37.5坪必要になります。

つまり7.5坪ぶん。

7.5坪は畳15枚分。リビングがもう一つ入る広さです。

坪単価を80万円と仮定すれば、約600万円。90万円なら675万円。 その金額を払わずに、同じ空間を手に入れている計算になります。




なぜ、この方法に気づかないのか

理由ははっきりしています。

間取り図が、平面だからです。

家づくりは、ほぼ全員が間取り図から始めます。何坪にするか。何LDKにするか。どこに部屋を配置するか。

打ち合わせのテーブルに広げられるのは、いつも平らな紙です。

でも、人が暮らしているのは立体の中です。

図面では十分な広さがあったのに、住んでみると狭く感じる。 この食い違いは、ここから生まれます。

平面で考えて、立体で暮らす。 そこにずれがあります。




では、高い天井は実際に何をもたらすのか

「広く感じる」だけの話ではありません。研究があります。


★考え方が変わる

2007年、ミネソタ大学のJoan Meyers-LevyとRui Zhuが『Journal of Consumer Research』に発表した研究では、次のことが示されました。

天井が約3.0mの部屋にいる人は「自由」という概念が無意識に活性化され、物事のつながりを見る抽象的な思考が優位になる。天井が約2.4mの部屋にいる人は「閉じ込め」が活性化され、個々の細部に注目する思考が優位になる。

カテドラル効果」と呼ばれる現象です。大聖堂に入ると大きなことを考えたくなる、あの感覚に名前がついたものです。

どちらが優れているという話ではありません。 ただ、リビングという家で最も長く過ごす場所の天井が2.4mなのか3mなのかで、そこでの思考の傾向が変わる可能性がある——研究が示しているのは、そういうことです。


★ストレス反応が下がる

もっと直接的な、体の反応の話もあります。

デンマーク・オールボー大学のLars Brorson Fichらの研究チームは、2014年に『Physiology & Behavior』誌で、部屋の形だけを変えてストレス課題を行う実験を報告しています。


閉じた空間にいた人たちは、唾液中のコルチゾール(ストレスホルモン)が73%上昇し、心拍数も15.3%上がりました。 そして、ストレスが収まるまでの回復も遅くなりました。

課題の内容も周囲の人も同じ。違うのは空間の形だけです。

空間の閉じ具合は、気分の問題ではなく、ホルモンの数値として出る。


なぜ、多くの家の天井は2.4mなのか

ここまで読むと、素朴な疑問が湧くと思います。

天井を高くするだけなら、どの会社でもできるのではないか。

できません。理由があります。

天井板は、装飾のために張られているのではないからです。

天井の上に、断熱材を置くために張られています。

真夏の晴れた日、屋根の表面温度は70℃を超えます(当社が松山市内で計測した実測値です)。

その熱が屋根裏にこもり、室内に降りてくる。だから天井の上に断熱材を敷いて、熱を止めている。

天井は、デザインではなく、断熱材の置き場所です。

つまり天井を取り払うということは、この70℃と正面から向き合うということです。そのままでは、夏に住めない家になります。

「勾配天井は暑い」と言われるのは、このためです。



私たちがどう解いたか

私たちは、この問題を3段構えで解いています。

熱は、まず跳ね返す。 放射熱はアルミで反射します。家全体をアルミで包み、屋根からの熱を室内に入る前に跳ね返します。

跳ね返しきれない分は、溜めずに逃がす。 通気層を設け、熱を持った空気を上昇気流で屋外へ排出します。

それでも残った分だけを、断熱材で止める。

一般的な家は、3番目だけで熱と戦っています。私たちは1番目と2番目で大半を処理しているため、断熱材にかかる負担が小さい。だから天井板が要りません。

この考え方を積み重ね、屋根を9層構造にしています。


その結果、すべての部屋に天井がありません。

家全体の平均で3.0m。リビングの最も高いところで4.2m。 オプションではなく、標準仕様です。



正直に書きます|天井は高ければ良い、ではありません

良い話ばかりでは信用されないので、限界も書きます。

研究上の留保があります。

1978年のJohn Bairdらの研究では、人が最も好む天井高は3.0m前後で、それより高くても低くても好みは下がる、という結果が出ています。「高ければ高いほど良い」という単純な関係ではありません。

私たちの家全体の平均が3.0mであるのは、偶然ではありません。リビングは4.2mまで上がりますが、家全体をならすと3.0mに落ち着く。上に伸ばせるだけ伸ばした結果ではなく、高い場所と低い場所を意図的に配分した結果です。

集中したい場所、こもりたい場所には、意図的に低い部分を残します。


実務上のデメリットもあります。

  • 高い位置の壁の掃除が難しくなります。 ビニールクロスでは汚れが付きやすいです。壁が白くなり続ける〝本漆喰〟を選ぶと拭き掃除が省かれます。

  • 湿度対策を考える必要があります。湿気でビニールクロスにカビが生えるということは多々あります。Ph値の高い漆喰の塗り壁にすることや、ワックスをしていない木材が内装で多く使って調湿効果を上げる方法で対応します。

  • 高所の照明交換の心配があります。 今の照明器具は全てLED照明で電源から直接照明器具に接続します。10年を目安に電気工事屋さんに交換して頂くことになります。このことは天井の低い家も同じです。

  • 壁の面積が増え、足場も高くなるためコストは上がります。 25%の空間が無料で手に入るわけではありません。上に伸びた壁の部分の建築費が上がります。金額は知れています。、床面積を広げるほどの金額にはなりません。



確かめる方法

天井の高さは、写真ではわかりません。

広角レンズで撮れば2.4mの部屋も広く写りますし、逆に4mの空間を撮っても、平面の写真では高さの情報がほとんど失われます。

上に挙げた研究は、いずれもその空間の中に身を置いたときの反応を測ったものです。写真を見せた実験ではありません。

だから、確かめる方法は実際に立ってみることです。


実際に立って確かめてみること分かること

その際、次の3つを見てください。どこの会社の見学でも使えます。

1|目線がどこにいくのか確かめる この家の玄関を開いたとき、椅子に座ったとき、自分の目線が何処を見ているのか?そこが上向きであれば開放的な空間だと言えます。

2|天井の高さを、平均で聞く 「リビングは◯m」だけでなく、家全体の平均を聞いてください。1か所だけ吹き抜けにして「天井が高い家」と言うこともできます。

3|15分ではなく、数時間過ごす 短時間の見学では、体の反応まではわかりません。長くいて心地よいと感じるかどうかです。


最後に

建築費は、2015年から約1.5倍になりました。今も上がり続けています。その中で「予算に合わせて坪数を削る」のは、確かに一つの答えです。ただ、削る前に一度、天井大空間を広げることを考えてみてはいかがでしょうか?

床面積を増やすには土地とお金が要りますが、上に伸ばすぶんには土地は要りません。同じ30坪でも、25%広い空間の家は建てられます。


参考文献

  1. 一般財団法人 建設物価調査会「建設物価 建築費指数」(東京・2015年平均=100、2026年5月・木造住宅工事原価 149.6)

  2. 国土交通省「公共工事設計労務単価」(2025年度・13年連続上昇)

  3. Meyers-Levy, J., & Zhu, R. (2007). The Influence of Ceiling Height: The Effect of Priming on the Type of Processing That People Use. Journal of Consumer Research, 34(2), 174–186. https://doi.org/10.1086/519146

  4. Fich, L. B., Jönsson, P., Kirkegaard, P. H., Wallergård, M., Garde, A. H., & Hansen, Å. (2014). Can architectural design alter the physiological reaction to psychosocial stress? A virtual TSST experiment. Physiology & Behavior, 135, 91–97. https://doi.org/10.1016/j.physbeh.2014.05.034

  5. Baird, J. C., Cassidy, B., & Kurr, J. (1978). Room preference as a function of architectural features and user activities. Journal of Applied Psychology, 63(6), 719–727.


コージーベースは、松山市で自然素材の家をつくっている工務店です。天井の高さや空間の考え方について詳しく聞きたいことがあれば、お気軽にお尋ねください。他社で検討中の方でも構いません。

無料の「木のおうちギフトBOX」:https://www.cozybase.jp/pamphlet


≪記事執筆者≫


コージーベース株式会社

代表取締役 松本 好司(まつもと こうじ)

出身: 松山市生まれ

富士通在職中: 26年間で28回の経営表彰(社長表彰含む)

広島県庁: 特別職 経営企画アドバイザー

公立大学: 経営大学院(MBA)新設に携わる

国の研究機関: プロジェクトマネジメントアドバイザー

建築学科を持つ学校法人: 顧問・専門委員を経験

保育事業: 科学的知見をもとに、健康で安心な保育園設置のアドバイザーを歴任 現在は、これまでのすべての経験を集約し「人生の質を高める住まい」をテーマに活動。

子どもたちの未来と家族の健康を守るため、生まれ故郷である松山・愛媛にて、自然素材を活用した本物の健康住宅の設計・普及に全力を注いでいます。


年間5棟着工限定プロジェクトの詳細は:こちら



 
 
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