松山市で平屋住宅を建てる前に|知っておきたい2つの論点と、正直なデメリット


松山市で平屋住宅を建てる前に|知っておきたい2つの論点と、正直なデメリット
カテゴリー:家づくりの基礎知識
日本全体では、家が建たなくなっています。
2025年の新設住宅着工戸数は74万戸あまり。前年比6.5%減で3年連続の減少となり、年間74万戸台は1963年以来62年ぶりの水準です。
ところが、その中で平屋だけが増え続けています。専用住宅に占める平屋の割合は、この10年間で2倍以上になりました。
しかも、平屋が多いのは地方です。SUUMOリサーチセンターの調査によれば、2022年の新築住宅で平屋の割合が最も高かったのは宮崎県の55.8%、次いで鹿児島県の52.4%。そして4位が香川県でした。
四国は、平屋が根づいた土地です。松山市で平屋を検討されている方は、決して少数派ではありません。
この記事では、松山で平屋を建てるときに最初に考えるべき2つの論点と、あまり語られないデメリットをお伝えします。
論点1|夏の暑さは、構造的に避けられない
「平屋は暑い」と聞いたことがあると思います。
この評判は、構造的には正しいです。
理由は2つあります。
屋根の面積が、2階建ての約2倍
同じ延床面積で比べると、平屋の屋根面積は2階建てのおよそ2倍になります。
30坪の家なら、2階建ては15坪分の屋根で済むところを、平屋は30坪分。太陽の熱を受ける面が、そのまま倍になります。
すべての部屋が、屋根の真下にある
2階建てでは、2階が1階の緩衝材の役割を果たします。1階のリビングは屋根から離れているので、屋根の熱を直接は受けません。
平屋には、その緩衝がありません。 リビングも、寝室も、子ども部屋も、全部が屋根に接しています。
つまり平屋は、受ける熱が倍で、逃げ場がない。
屋根の温度は、70℃を超えます
真夏の晴れた日、屋根の表面温度は70℃を超えます。 これは一般論ではなく、当社が松山市内で実際に計測した値です。
瀬戸内の夏は、風が弱く、気温が上がりやすい。松山で平屋を建てるなら、この熱をどう処理するかが、間取りやデザインより先に来る論点だと考えています。
一般的な家は、天井の上に断熱材を敷いて熱を止めようとします。 ただ、断熱材は熱の到達を「遅らせる」ものであって、「止める」ものではありません。夜まで待てば、熱は届きます。
〔参考記事→ 平屋は暑い、と言われる理由 〕
見学に行かれる際は、「夏の暑さ対策をどうしていますか」と必ず聞いてください。 答え方で、その会社が平屋をどれだけ考えているかがわかります。断熱等級は断熱材の厚み評価で、熱の伝わり方には3通りあり、真夏の暑さ対策は別次元の対策が必要です。
論点2|「広さ」は、面積だけでは決まりません
もうひとつが、広さの感じ方です。
建築費は上がり続けています。建設物価調査会の建築費指数では、木造住宅の工事原価は2015年を100として2026年5月時点で149.6。約1.5倍です。つまり、家の値段が1.5倍になっています。
その結果、多くの方が打ち合わせの中で坪数を削っていきます。35坪から32坪へ、32坪から30坪へ。
ただ、坪数を削る前に考えられることがあります。
同じ30坪でも、空間を25%広くすることが可能です。
30坪(約99.2㎡)で、天井の高さだけを変えて計算してみます。
天井高 | 空間の体積 |
2.4m(一般的な住宅) | 238㎥ |
3.0m | 298㎥ |
差は60㎥。約25%です。
天井2.4mの家で298㎥の空間をつくろうとすると、37.5坪必要になります。つまり7.5坪ぶん。畳15枚分です。

なぜ、これに気づかないのか
間取り図が、平面だからです。
家づくりは、ほぼ全員が間取り図から始めます。打ち合わせのテーブルに広げられるのは、いつも平らな紙です。
でも、人が暮らしているのは立体の中です。
「図面では広かったのに、住んだら狭い」という食い違いは、ここから生まれます。そして平屋は、この点で有利です。2階がないぶん、屋根の形をそのまま室内の高さに使えます。
正直に書きます|平屋のデメリット
平屋の良さを書いた記事はいくらでもあります。ここでは、あまり語られない側を書きます。
1|坪単価が上がります
同じ延床面積なら、平屋のほうが高くつきます。
基礎と屋根の面積が、2階建ての約2倍になるためです。基礎工事も屋根工事も、住宅の中では単価の高い部分です。
「平屋のほうが安い」は、誤解です。
2|土地が広く必要です
30坪の平屋を建てるには、建ぺい率にもよりますが60坪前後の土地が必要になります。2階建てなら30坪台の土地でも建ちます。
松山市内でも、エリアによっては土地の確保が難しい場合があります。
3|日当たりと風通しの設計が難しくなります
奥行きが深くなるため、家の中心部に光が届きにくくなります。
中庭、天窓、高い位置の窓など、設計上の工夫が必要です。「平屋だから明るい」わけではありません。
4|プライバシーと防犯
すべての部屋が地面と同じ高さにあります。
道路や隣家からの視線、そして窓からの侵入について、2階建てより配慮が必要です。窓の位置、塀の高さ、植栽の計画が効いてきます。
5|浸水のリスク
これは松山特有の論点です。
2階建てなら垂直避難ができますが、平屋にはその選択肢がありません。土地を決める前に、松山市が公開しているハザードマップを必ず確認してください。 浸水想定区域であれば、基礎を高くする、盛土をするなどの対策が要ります。土地を買ってから気づくと、対応の選択肢が狭まります。
松山で土地を探すときの5つの視点
平屋は土地の条件に左右されます。見るべき点を挙げます。
1|建ぺい率 50%の50坪の土地に30坪の平屋は建ちません。土地を見る前に、必要な建ぺい率を確認しておいてください。
2|土地の形 平屋は横に広がるため、細長い土地や変形地では計画が難しくなります。 正方形に近いほど有利です。
3|接道と隣家の高さ 南側に2階建てが建っていると、日照は大きく変わります。現地に立って、実際の影を確認してください。
4|ハザードマップ 上の浸水リスクに書いたとおりです。
5|地盤改良 地盤改良が必要なエリアは概ね決まっています。新規に土地を選ぶ際に住宅会社に調べて頂くと良いです。
見学で確かめる4つのこと
平屋を見に行かれるとき、この4つを確認されてください。どこの会社の見学会でも使えます。
1|真夏の午後に行く
春や秋の見学では、平屋の最大の弱点が出ません。
真夏の午後、屋根に最も近い場所に立ってみてください。熱は上に溜まります。そこが快適なら本物です。夏を避けて見学を勧められた場合は、理由を聞いてみてください。
2|天井の高さを、平均で聞く
「リビングは◯m」だけでなく、家全体の平均を聞いてください。1か所だけ吹き抜けにして「天井が高い家」と言うこともできます。リビングだか異常に高い家もありますが、その掃除をどう考えるのか?住んでからが大きな盲点となります。
3|築3年以上の家を見せてもらう
完成直後のモデルハウスは、どこもきれいです。傷も隙間も、時間が経たないと出ません。 実際に人が住んでいる家を見せてもらえるかどうかで、その会社とお客様との信頼関係が見えてきます。
4|15分ではなく、数時間過ごす
空気や温熱の感じ方は、短時間の見学ではわかりません。可能なら数時間、できれば宿泊体験で一晩過ごしてから判断してください。生涯に渡って住み続ける家ですから、慎重な家選びが必要です。
最後に
平屋は、家事動線がシンプルで、家族の気配が伝わりやすく、将来の階段の負担もありません。子どもが育つ期間はほんの僅かです。子どもが巣立った後の生活の方がずっと長いのです。退職後のメンテナンス費用の支出を考えた設備や素材を選ぶ必要があります。
平屋には、構造上の弱点もはっきりしています。 屋根が広く、全室が屋根の真下にあり、土地の条件に左右されます。
良い面と弱点の両方を知ったうえで選べば、平屋は非常に良い選択肢です。
この記事を読んで気になる点が出てきたら、上の4つを持って住宅相談や見学会に行ってみてください。どの会社を選ばれる場合でも役に立つはずです。
参考
国土交通省「建築着工統計調査報告」(2025年の新設住宅着工戸数 74万667戸/前年比6.5%減)
リクルート SUUMOリサーチセンター調査(2022年新築住宅の平屋比率:宮崎県55.8%、鹿児島県52.4%、香川県が4位)
一般財団法人 建設物価調査会「建設物価 建築費指数」(東京・2015年平均=100、2026年5月・木造住宅工事原価149.6)
この記事を書いた人 コージーベース一級建築士事務所
松山市・愛媛県で 「人生の質を高める住まい」をテーマに 自然素材を活かした健康住宅をつくっています。 住まいづくりの現場で得た知識や、 家づくりに役立つ情報をスタッフがお届けしています。
コージーベースは、松山市で自然素材の平屋をつくっている工務店です。年間5棟限定。平屋について詳しく聞きたいことがあれば、お気軽にお尋ねください。他社で検討中の方でも構いません。
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